QUANTUM MECHANICS by Irving Quant
4800円
QUANTUM MECHANICSとはトップにある四枚のカードをデックの中ほどにばらばらな状態にコントロールするというなんとも便利そうな技法(Distribution Technique)をもとにした作品集である。しかしその肝心の技法が、うせやろ!?という解法でいろんな意味で驚いた。
DAN&DAVEプレゼンツなだけあってその難易度はかなり高い。凝視されている状態だとかなり厳しいがオフビートならギリギリ行けるかな(いけない)くらいの難易度である。ほんとに実践で通用するかは疑問だが、映像を見る限りでは特に違和感はなくすごいなあと思った(小並感)。
これだけならただのクソネタDVDだが手順の完成度が高く、さすがIrving Quantだと思った。むしろ各手順の技法や原理のほうが面白いかもしれないまである。
僕のお気に入りはSamurai KutとPure Slapの二つだ。
Samurai Kutは机にデックを叩きつけるとなぜか四つの山に分かれ、それぞれのトップからAが現れるという現象である。上PVの2:00より実演がある。原理、現象ともになかなかにおもしろく、マニアに会う時などによく見せている。
Pure SlapはビルグッドウィンのSlap exchangeと同じ現象をよりダイレクトに行ったものである。マルチプルコントロールがかなり自然で不覚にも引っかかってしまった。マルチプルコントロールは個人的に好きなジャンルで、かなり取集していただけにこんなシンプルな方法があったことに驚いた。
間違いなく初心者にはおすすめしない。中級者以上で変わった手法を知りたいという方は買ってみてもいいかもしれない。
評価
難易度 ★★★★☆
実用性 ★★★★☆ (Distribution Techniqueだけだと星2だが、いろいろ加味して)
一般受け ★★☆☆☆
マニア受け ★★★★★
私的満足度 ★★★★☆
The Full Monty by Liam Montier
3000円
現象
『4枚のカード。
裏面に「ジョーカー」と書かれた赤裏のカードが3枚と、裏面に「クイーン」と書かれた緑裏のカードが1枚。
そして、表は「裏に書かれている通り」の表であることをあらためます。
「クイーンがどこにあるか、それを追いかけてもらうゲーム」だと説明しますが、
裏が色違いで、しかもクイーンと書いてあるわけですから、こんなに簡単な問題はありません。
にもかかわらず、マジシャンは「さらに簡単にしよう」と言って、
ジョーカーのうちの1枚をよく見せながら、ポケットにしまいます。
残りは、赤裏の「ジョーカー」2枚と、緑裏の「クイーン」1枚。
「さあ、クイーンはどれ?」…
観客は当然、緑裏のカードを指差すでしょうが、ここで、予想外の展開が。
パケットを広げると、突然、4色の色違いの裏模様のカードに変化しています!
赤裏の「ジョーカー」、緑裏・紫裏・橙裏の「クイーン」。
こうなると、クイーンが3枚?
それとも「引っ掛け問題」で、裏に書いてあるのと、表が違うのでは?などと、
観客はもう、わけが分からなくなりますが…
表を見せると、意外や意外!
4枚のエースに変わっています…ジョーカーもクイーンも、どこにもありません!
そのまま、4枚のカードを手渡して調べてもらいますが、どこにも怪しいところはありません。』
というパケットトリック。自分で演じていて、うまく手順くみ上げたなあという感動がある。かなり図々しい手法をとるが、気づかれることはまずない。ただ,カードの仕掛け上の問題で、一つ途中でネックとなる個所があるがそこ以外はかなり簡単にスムーズに演じることができる。しかしネックとなる個所が僕の苦手な技法なため、怖くてたまにしか演じていない。残念。
評価
難易度 ★★★☆☆
実用性 ★★★★☆
一般受け ★★★★☆
マニア受け ★★★★★
私的満足度 ★★★☆☆
手作りクロースアップマジック
1800円+税
手作りできる小物マジックが難易度1~5に分けられ20作品載っている。表紙を見ると素人向けの本に見えるが、中身はちゃんとしたマジックが載っている。難易度はそこそこマジックをやっている人ならどれもすぐに実演できるだろう難しさでちょうどいいと感じた。
初めて知るような仕掛けや原理がままあり、読んでて面白かった。特にグローイングパールはそう来たか!と驚いた。しかし個人的に琴線に響くようなものが少なく残念だった。ただこれは個人の好みによるし、作品集としては良質な作品がそろっているので、小物を使ったマジックが好きな人にはいいかもしれない。
評価
難易度 ★★☆☆☆
実用性 ★★★☆☆
一般受け ★★★☆☆
マニア受け ★★★☆☆
私的満足度 ★★☆☆☆
カードマジックカウント辞典
3600円+税
カードマジックの技法の中でカウントに関する情報が大量に乗っている辞典。カードマジックフォース辞典と装飾が似ているが作者は異なる。
カウント技法が80種類載っているが、正直使いどころを探すのが難しいと思う。僕はこの本を一ページ目から読んでしまったのだが、だんだんカウントの違いが判らなくなってきてつらかった。これさっきのと何が違うんや!!というのが何度もあり、頑張って技法を読み取ってもしょうもない効果だった時は投げ出したくなった。
しかし、根気よく読み進めていくと面白い技法もたくさんあった。五枚をビドルグリップで持って行うカウントや、三枚を同じカードに見せるクイックスリーウェイとその派生など、珍しい技法がたくさんありとても楽しかった。お気に入りは、3枚以上のカードをナチュラルに二枚に広げて見せるダミコスプレッドである。この技法は実用性が高く普段の手順に組み込めそうだと思った。
珍しい技法が好きな人、すべての技法を知っておきたい人、技法をうまく手順に組み込める人におすすめの本である。
評価
難易度 ★★★☆☆
実用性 ★★☆☆☆
マニア受け ★★★★☆
私的満足度 ★★★★☆